2023年09月11日
昨日の上田観正会定式能(神戸・長田区)の【采女】(シテ・上田拓司)は美奈保之伝の小書付であった。
【采女】の美奈保之伝は前シテによる前段の春日大社の案内がガッツリと省略され、すぐに采女の猿澤の池入水が語られる。
間狂言は、所の者で居語。前シテが語る二つの物語、春日大社と采女入水の物語をほぼ同様に語るので脇の僧は話の符合を見る。私はかなり以前に他流で勤めて以来2度目の役。小書の付いた演出は初めてであった。
今回の演出では前段の春日大社の部分が省略されているので、間がこれを語ると蛇足なようで少しチグハグになる。
もともと夢と似ていて、論理的な筋の通らないテーマを扱う芸能であると共に、シテが語らない部分を間狂言がカバーする、という分担もあるが、もう少し通りのいい方法を探したいな、と思う。